(キク科   イチリンソウ属)

5月上旬の信濃平スキー場
新緑が萌え始めたばかりの落葉広葉樹林帯の典型 
 5月上旬の頃、まだアルプスなどの高山にはかなりの積雪が残り、白い山並みが美しい季節である。山々を歩くと、カタクリイカリソウエンゴサクタチツボスミレなどとともによく見かけるのがキクザキイチゲである。別名をキクザキイチリンソウともいう。

 同じキクザキイチゲでも、その生育環境によって個体や花の大きさや色、葉の形態などが微妙に異なっている。下の3つの写真はいずれも同じ時期に撮影されたものであるが、黒姫高原のものは花色が薄紫色で直径3cm程度、葉の先はやや尖っている。それに対して、より低地で暖かい場所に生育していた信濃平や戸狩の個体は、花色は白く、花の直径が5cm程度もあり、「大きいなぁ」という印象を強く持った。

(それぞれの写真をクリックするとオリジナルな大きさで表示されます。)

 黒姫牧場近辺の標高800m程度のところにある御鹿池にて撮影。

黒姫高原のキクザキイチゲ
黒姫高原     【5月上旬
信濃平のキクザキイチゲ
信濃平スキー場   【5月上旬】
戸狩のキクザキイチゲ
戸狩   【5月上旬】

他の植物でも、生育環境によって花の色が変化することがある。例えば 
シモツケソウ 薄いピンク色
(低山) 
濃いピンク色
(高山) 
カタクリ 薄いピンク
(太平洋側)
濃いピンク
(日本海側)
タチツボスミレ 薄い水色(低地) 濃い青色(高地)
*タチツボスミレの花色の変化は越前岳でよく観察できる。