( 鈴鹿山脈の御池岳・藤原岳 )


御池岳の山頂付近   
石灰岩の柱(カツレン)が草原に取り残されたように突き出している。

(同 左)
山頂付近は平坦になり、すり鉢上の窪地が点在する。 
  三重県西部の滋賀県との県境に位置する鈴鹿山脈は、平均海抜1000mの山並みが連なり、東の三重県側の傾斜が急で、反対の滋賀県側は緩やかに傾斜していて、主稜線が著しく東に偏している。これはちょうど北アルプスが東の長野県側で急傾斜しているが西の富山県側では緩やかになっているのと良く似ていて面白い。山頂部は平坦な地形が多く、準平原が隆起したものと考えられている。そして山脈の北部の藤原岳、鈴北岳、御池岳などは石灰岩からなり、山頂付近にはカルスト地形と呼ばれる独特の地形が見られる。(下記@、Aは御池岳、Bは藤原岳)
 @石灰岩は雨水によって侵食を受けやすい。そして溶け残った岩柱が草地に点在するカツレン。
 A石灰岩が溶けた後に残ったすり鉢状の窪地(ドリーネ)。
 Bカツレンがより大規模に残ったカツレン・フェルト
なお、鈴鹿山脈でもう一つの有名な御在所岳は花崗岩の山である。麓の湯ノ山温泉から山頂に至るロープウエイから、別項の「花崗岩の山」で紹介しているような花崗岩独特のトア(岩塔)があちこちに観察できる。

藤原岳の山頂付近
雨水による侵食(溶食)作用で残ったカツレンが広域に残ったカツレン・フェルトと呼ばれる景観
 
 御在所岳ロープウエイで山頂に向かう途中の見られる花崗岩のトア。
 このような、光景は石灰岩の藤原岳や御池岳では見られない。
 御在所岳はそれほど標高が高くないにもかかわらず、切り立った岩山というイメージが伴うのも、花崗岩の山では、岩が大きな結晶でできているので、比較的風化されやすく、稜線部ではトア(岩塔)が生じやすい、ということのためであろう。詳しくは「花崗岩のトア(岩塔)をもつ山」を参照してほしい。