奥秩父の瑞垣(みずがき)山から東側へ稜線沿いにたどっていくと、このようなるトア(岩塔)群が見られる。(金峰山から写す) |
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ここに掲載した写真は、奥秩父にある金峰山と瑞垣山のもの。両者とも花崗岩でできた山である。花崗岩はこのように、山頂部に花崗岩の塊(岩塔:トア)を残しているものが多い。花崗岩の節理(割れ目)に沿って浸透した水は凍結して体積を増やすときに、強力な破砕作用を及ぼす。この働きで花崗岩のような岩石は節理に沿って割れて風化していくと考えられる。しかし節理の密度が少ないところでは、そこに比較的大きな岩塊や未風化の核が残る。これが周囲が小さな岩塊になって剥がれ落ちたり、粉々に砕けた砂になってしまった後に岩の塔のようになって残るのである。 このようなことから、花崗岩でできた山の場合は、山頂や稜線沿いにトアを持つものが多くなるのである。もちろん花崗岩に含まれる鉱物結晶の大きさも場所により様々なので、トアの規模や形などには、山によっていろいろな違いが見られる。 北アルプスでは燕岳が有名。中央アルプスでは山脈全体が花崗岩であるが、中でも直下に千丈敷カールを見下ろす宝剣岳はあきらかにトアの山である。南アルプスでは鳳凰三山のうちの地蔵岳のトアが良く知られている。甲斐駒ケ岳も花崗岩の山であり、駒ケ岳は山全体がトアであると考えてもよいであろう。より標高の低い山では、甲斐駒ケ岳の麓にある日向山がある。下の写真に示すように、この山の山頂部には花崗岩による独特のオベリスクが見られる。周りの部分が細かい砂になって剥がれ落ちた後、節理の密度が低く風化されにくかった岩の芯の部分が残って独特の景観を残しているのである。 鈴鹿山脈の御在所岳も花崗岩の山であり、その北にある石灰岩の藤原岳や御池岳とはかなり異なった景観をもった山である。 |
金峰山の山頂にあるトア(五丈岩ともばれている) |
瑞垣山の山頂付近のトア群 風化されずに残った部分が塔のようになってそびえ立っている。 |
金峰山頂の五丈岩 |
日向山の山頂にある花崗岩のオベリスク |
鈴鹿山脈の御在所岳中腹に見られるトア 山頂につながるロープウエイからこのような光景があちこちに見られる。 |