ヒメレンゲ
(ベンケイソウ科 キリンソウ属)

茶臼山            【6月上旬】
 本種を見つけたのは、愛知県東部の長野県との県境にある山である。
 関東地方以西の山地の湿った岩の上や岩壁に生える。一見コモチマンネングサやツルマンネングサに似ているが、よく見るとコモチマンネングサのような葉の根元の栄養体がないし、ツルマンネングサのように葉が輪生もしていない。葉の形も下部のものはさじ状で、中ほどから上はものは長く、くつべら状に伸び、互生である。特徴的なのは花をつけずに横にはっている白っぽい茎である。そして、その先にはしゃもじのような形の葉がロゼット状に生えている。「ヒメレンゲ」という名前は漢字では「姫蓮華」と書き、このロゼット状の葉をハス(蓮華)の花に譬えたものという。これにはさすがに眼のつけどころが違うなぁ、と感心してしまう。